「谷口吉郎•谷口吉生」展にて。
金沢が育んだ二人の建築家、親子2代の建築家としても有名な「谷口吉郎•谷口吉生」展へ行って来ました。
幸運な事にこの日は、雪の中並んだ甲斐もありまして(笑)谷口吉生氏ご本人の解説で展覧会を案内して頂けました。
先着20名だったのですが、午後の回では来場者全ての方が、後方からでも谷口先生の話に聴き入っている、という様子でした。
先ずはお父様の吉郎氏のパネルの前に立たれ、お二人にのご説明をされた後、吉郎氏の建築、ご自分の建築の解説へと続きます。
父と二人の展覧会を、この金沢の地でできた事をとても嬉しく思っている事、また、この会場(金沢市民芸術村)も沢山の施設をまわって決め、ご自分で改修の設計をされたそうです。市民の方が多目的に使っている場所で開催したかった、と仰っていました。
母方のお爺さまも建築の仕事をされていたそうで、東京駅建設中は現場監督の所長さんだったとの事、本当は2代ではなく3代だったらしいです^^
吉郎氏設計の慶應義塾幼稚舎が竣工した年にお産まれになった事や、ご自分と、日本的な設計をされていた吉郎氏の建築が(似てると言われるけど)違う事、父の建物を改修する際や、日本的な建築の設計をする時は、父に成り切ってやっている、などの面白いお話も伺えました。
ご自身のお話では、設計全般において一番大切にしている事は「土地や街の風景に合う建物」というのを一番に考えています。と説明され、個々の解説へと続きました。
展示は模型 と写真でした。
今年オープンした京都国立博物館 平成知新館
こちらに関しては、設計の際に特に気にかけた事など、熱く、何度も語って下さいました。
南門から平成知新館への道は、京都の碁盤の目を考慮し、昔は道があったのではと推測、三十三間堂からまっすぐ北に道を通したところ、北側の豊国神社の道路側に、門の基礎部分が見つかったそうです。
また、設計はなんと10年少し前から、ニューヨーク近代美術館(MoMa)と同時期に始めたとか。
展示品が順路のどこからでも見る事ができ、自分の位置が確認できるように考えた、というお話もされてました。
平成知新館、まだ行けてないので近いうちに必ず行こうと思います。
コンペ参加は考えてなかったが、世界の10人の中の1人として参加する事になり、まさか自分が選ばれるとは思ってなかった(笑)と仰ってました。
プレゼンパースが現実のものとなったお話や、 アメリカでも地鎮祭でやる事は同じだった(笑)などの面白い話も聴けました。
東京都葛西臨海水属館
ディズニーランドの側、設計の際は、ランドと同じくテーマを持たせた、などのお話をされてました。
鈴木大拙館
谷口先生の建築への思考、わざが凝集された傑作、と言われている建物です。
建物のまわりに水が張られていますが、
水を張る事によって地盤の水平精度があがる事。水面が四季折々、日々の景色を映し出し、大変美しい事、など水を張る事のメリットについてお話しされてました。
鈴木大拙館は、翌日訪問したので、またレポートしたいと思います。
今後は、吉郎氏が設計したホテルオークラ東京の建替えの計画に入るそうです。
最近ロビーがCASAに載った事から、壊さないで残して欲しい、という問合せや手紙が来るとのこと(笑)で、ロビーはそのまま再現するかたちで考えてらっしゃるようです。
こちらは、建替え前に見きたいです。
今回、貴重な経験をしまして、とても勉強になりました。
(特に仕事に関してですが)恵まれた環境にいる事に感謝し、どんな事も謙虚に受け止め、日々精進して少しでもお役に立てるよう、頑張って行きたいと思います。
最後に質問コーナーがあり、広島のゴミ処理場について質問された方がいました。
迷惑施設をどう考えてあんな風に作ったのか、という内容です。
ここでは谷口先生の設計全般に関する想い、街•土地の風景に合ったもの、自分たちが出したゴミがどうなるか見て欲しかった、と言うような内容の事を仰ってました。
私も広島に住んでいた頃に一度行った事があるのですが、また再訪したいです。
過去記事はこちら→ 広島市環境局中工場 エコリアム - living.nap
娘が最後に、谷口先生に「どうしたら建築家になれますか?」という質問をしまして^^; 「良い建築をたくさん見る事」と教えて下さいました。
「料理と同じ」だそうです。
良いものを知って、始めて良いものが作れる、と仰ってました(*^^*)